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2022/1/5 Dream by WOMBOで遊ぶ
🕰PM 18:00
「月下世界紀行」に第6作目の短編「有翼一角獣《アリコーン》牧場」をUPできたのですが、かなり書くのに苦労してしまいました。何が苦労の原因だったのか、自分でもよく分からないんですが、たぶんイメージワークの不足かなと思います。書く前に、書くことを頭の中でまとめ切れていないというか、具体的に感じ取れていないというか?
通常は私は書くものが頭の中である程度はっきり具体化してからしか書かないので、書いている途中で困ることはないし、脱稿できたらほぼ完成で、書き上げてから内容をいじることは無いんですけども、「アリコーン牧場」は初稿の脱稿後に一部、内容を変更しました。
そのあたりの経過をちょっと記録しておきたくて、これを書いています。
(ネタバレを含みます)
「アリコーン牧場」の着想の経緯は本館のブログに書いているので割愛します。うちの娘がユニコーンが好きなので、家の中にユニコーンのモチーフのものが多く、なんとなく自然にユニコーンが出てくる話を思いついたような次第です。
ユニコーンは吉兆の一種と思うんですが、ユニコーンに翼が生えてるやつ=アリコーンは不吉なモチーフであったり、吉兆であったりもするみたいです。実はあまり資料を持っていません。
本気で調べると「アリコーン牧場」を書くのに何年もかかると思います。それに何年もかけるのが本来の小説執筆のあるべき姿かとは思いますが、私にはあまり時間もないもので、とりあえず書いておいて、今後また機会があったら調べるというスタイルをとるしかありません。
とにかく、アリコーン(翼のあるユニコーン)は不吉だという側面がありつつ、吉兆だという側面も持っているかもしれない。というのが「アリコーン牧場」の土台にある情報です。
「なんで不吉だったり吉兆だったりするのか?」というのは、伝説だったり神話だったりなので、単に『諸説あり』ということだと思いますが、自分の作品を書くにあたっては「凶兆であり吉兆でもあるのだ」というふうに解釈して進めます。
また、ユニコーンは優れたアイデアやビジネスの喩えでもあるみたいなので、ユニコーン=アイデア、というふうに考えることにします。
なんかそんな感じでモヤモヤっと考えるともなく考えていると、「アリコーン牧場」のお話がなんとなく出来てくるのです。
実は自分がどうやってお話を考えているのか詳しい経過がわかりません。一応、筋道立ててコツコツ考えてるとは思うんですが、いつもなんとなくフワッと思いつくので、それに慣れていて、どういう経過で考えているのが深く考えていません。もう理屈ではない言葉にならない何かです。
それ、昔から自分でも「どうやって考えているんだ」と不思議に思うので解明したいんですが、たぶん起・承・転・結のようなことを頭の中で組み立ててるんでしょうね?
考えた結果は映像見たいなものとしてアウトプットされてきます。
「アリコーン牧場」の場合は、イントロダクションの森の中で一角獣《ユニコーン》を見失う場面とか、牧場のおっさんが出会い頭に怒ってる場面とか、厩舎で馬の出産を手伝うシーン、最後のほうで白い馬がいっぱいいる場面と、それが空に飛んで消えていく場面などです。
これは「絵」なので、自分でそれを見て「こういう意味だな」と解釈し、紙芝居みたいに正しく並べると、ストーリーの流れが見えてきます。
その絵の意味を自分で理解できれば、原稿の執筆に取り掛かれるのですが、今回の「アリコーン牧場」はいまいちその解釈が浅くて、書きながら自分でもわかってない面があったかなと後で反省しました。
お話を組み立てる時、頭の中にある空想の絵(映像)を何度も繰り返し最初から最後まで見返して、内容や流れを記憶してから書きます。
「アリコーン牧場」は短編なので、そう多くの情報はないですが、これが「カルテット」や「三都幻妖夜話」のような長編ですと、絵の枚数や映像の数も多くなって、一気に全部を考えるのは無理になってきます。
それでも以前は私も記憶力がよくて、思いついた絵を全部憶えておくことができたんですが、最近では忘れたり、一度にたくさんの絵を思い出すのがしんどくなったりしています。
これは、記憶に頼るんじゃなく、記憶の外部化をして、頭の中ではなく紙の上で作業したほうがいいなって思うのですが、私は絵を描けないので、思いついた絵を書き留めて外部化することがとても難しいです。
どうしよう……。描く?(無理)
と思いつつ、もう3、4年ぐらい結論のないまま困ってたんですが、近年、言葉で指示を出した絵を自動で描いてくれるAIがいくつか開発されているそうです。そのうち誰でも使える機能として、アプリになったりするんだろうなと期待して待っていたものが、気づいたら既にリリースされていました。
です。上記のWebアプリの他に、iOS版とAndroid版のスマホアプリがあります。
これを使って、文章のプロンプトでAI画伯に絵を描いてもらいました。1枚書くのに数秒しかかからないので、適切なプロンプトになるよう何度か言葉を変えて試しつつ、希望する絵に近いものが偶然描けるのを待ちます。私は描画リトライのボタンを押すだけでいいので楽なものです。
「アリコーン牧場」の流れとして書き留めたかった絵をいくつか簡単に作ることができました。




起・承・転・結になっています。
でも、この起承転結の絵のデッキがあっても、意味を読み取れないと物語にならないので、解釈が重要です。この物語に意味を持たせるテーマが何なのかを自分で読み解かないといけないんですが、それが難しかったです。
私は自分が思いついた一連の絵は、物語の中の現在では牧場主となっている男の死に際の話で、主人公であり観察者である旅人は、その死にゆく男の一生をこの一夜で垣間見るだけなんだな、と解釈しました。
しかし初稿では、上の2枚目にあたるベッドの中の鎧の絵が無くて、なんのことか分からない話になっていました。それで再考して要素を足したのが2枚目の鎧の絵です。
絵の中には出てきませんが、牧場主には以前は家族がいたという設定になっています。旅の仲間であった配偶者が牧場主にはいたけど、その妻はずっと前に死んでいます。
この奥さんがなぜ亡くなったのか、実は最後まで決まらなくて、途中の原稿では産褥死したことになっていました。でもそれだと話のテーマがぼやけてしまっていたので、決定稿では男の妻は病死したと書いています。
一本の短編に二人も分娩で死ぬ者がいると、それがテーマかなという印象になるので、二人はまずいですよね。片方は人ではなくペガサスでしたけど。
でも、書き上げてから俯瞰してみると、男の身勝手が書いてある物語みたいで、実はそういう話だったのかなと、まだモヤモヤしています。なかなかスッキリと完結できない作品で、本当に苦労しました。
まだ私の筆の及ばない作品だったのかもしれないんですけど、でも頑張って書けてよかったです。
短編だと、執筆期間は比較的短くなりますけど、小説ってなかなか完成しないものですね。私はどちらかといえば速筆なほうなので、8000字ぐらいだと1日で脱稿するんですが、考える作業のほうはその何倍もかかります。
考えても考えても終わらないものなので、どこかで区切りをつけて執筆しないといけません。
しかし今回はちょっと早まったのかな……といまだに悶々としています。難産の物語だけあって難産だったんですかね?
それでも産むべき時には思い切って産み出さないといけないのも創作活動かなーと思っています。
最後のほうで旅人さんが悲しくなるタイミングはどこかとか、金髪の馬に「そんな人間などいない」って言われるタイミングとかが、えー難しいな、えぇー……って悩む箇所でした。
そういうの「どうでした?」って読者さんに聞いてみたい気持ちもあるんですが、そんなに都合よくピンポイントのご感想を聞けることって無いので、これでいいのかなというのは作者には中々結論がないものです。読者さんはこう感じたよ、というのを気軽に教えていただけると、とてもありがたいので、もしご感想をくださる機会がありましたら、感じたことをそのまんま書いてみてくださいね。